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2014年11月9日日曜日

「脱力」して発揮する力


学校でダンスのリズムトレーニングを行っていた時のことだ。以前、身体班の仲間から、「脱力」する話を聞いた。力を発揮すると聞くと、筋に力を入れ、思いっきり動かすイメージがある。しかし、逆に「脱力の意識によって、力を発揮する」ということを彼は、目の前で見せてくれた。

 

彼は腕を体の前に出し、その腕を掴んで強く押すようにと私に言う。言われたとおりに押してみた。一回目は簡単に彼のバランスを崩し、後ろに押し切ることができた。しかし、二回目は違った。彼は、ブルブルっと体を振り腕を垂らしてだらんっとした姿勢を取ってから、そのまま腕を前に差し出す。私は押してみた。一回目と全然違う。押し切れないどころか、逆に私の体に圧力を感じる。重く、固い。しかし、体の姿勢は依然としてだらんっとした姿勢である。とても不思議だった。さらに彼は言う。「脱力するときに、膝の力も抜いて、上半身ごと下に落ちてみる」。

 

今日のダンスのリズムトレーニングはウエイトトレーニングを行った後に始めた。筋肉が張ってしまっているために、どうしても力の入ったフォームになってしまう。僧帽筋に力が入り、上半身が縮こまり、肩から腕にかけて筋肉が硬直している。そこで、一回リズムトレーニングをやめてみた。ふとジャンプをして、力を抜こうとしてみた。

ここで、彼の話を思い出した。ジャンプして空中でのリラックス感のまま、着地も膝を抜いて下に落ちてみよう。とても気持ちがよかった。上半身ごと下に落ちてそのまま上へ再びジャンプをするときも、力んでいる感じがしない。上がりながら、ふつふつと力がこみ上げている感じがする。とてもワクワクしてきた。この感覚は初めてだ。ジャンプってこんなに楽で気持ちがよかったけ?しかもフルレンジなのに。

 

リズムトレーニングを再開した。感覚が全く違う。なぜだろう。鏡を見ると、肩が16ビートを刻んでいる。明らかに力が抜けている。それによって、首の動きもなめらかで自然である。脱力は下半身にも至る。膝と骨盤がなめらかに連動している。リズムを取ろうとしなくても自然と刻んでくれる。リズムトレーニングのときは、膝はどう動いているか、上半身はどうか、骨盤はどうか、ということばかり考えている。しかし、その意識はない。それぞれの部位が互いにコミュニケーションを取り、リズムを打ち鳴らす。私はそれを聞いているような感覚だ。楽しい。それによっていろいろな音が聞こえてくる。ためしに技を織り交ぜてみる。今まで感じ取れなかったタイミングも見えてきた。このタイミングでこの技を出すことで来たっけ?とにかくいろいろな発見が多かった。

 

これらの発見をなぜ得ることができたのかは、まだわからない。しかし、上達していくにはこれらを解明させていく必要がある。これから練習を行ていくときの問題意識の一つとして、しばらくテーマに掲げてみようと思う。

1 件のコメント:

  1. (こせき)「それぞれの部位が互いにコミュニケーションを取り、リズムを打ち鳴らす。私はそれを聞いているような感覚だ。楽しい。それによっていろいろな音が聞こえてくる。」の部分、すごく好き!
    その感覚、今度会って詳しく聞きたい!

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